共働きとパチンコが見守られない子供を生む:子供の自殺を止めるには(4)
共働きするなら子供の見守り先を確保せよ
共働きは今では珍しいことでもないだろう。だが、共働きにより子供と向き合う時間が減ってしまうことは確かだ。
私の育った家庭は共働きだった。そのため私は小学1年生から家の鍵を持たされ「鍵っ子」となった。それと同時に、私は「見守られない子供」になったのだ。
鍵っ子となってから間もなく、私は同級生女子の2人組からイジメを受けた。
下校中に後ろから私のランドセルを掴んで引っ張ってくるので、私が手を振り払って抵抗すると、「バカじゃないの、そんなに必死になって」といった感じで2人組は私を笑い者にした。
そして、またランドセルを掴まれたが、無視して掴まれたまま歩くと、散歩されている犬のような感じになってしまって、自尊心を大きく傷つけられた。
だが、家に帰っても誰もいないのである。
父と母は仕事、弟はまだ保育園に預けられている時間だ。
私は母の勤務先に電話し、「〇〇(名字)ですけど、お母さんお願いします」と伝えた。そうすれば、母に電話を繋いでもらえると教わっていた。
母の声を聞いたら、ポロポロ涙が出てきて、泣きながらいじめられた事を話していた。母も大変であっただろう。仕事もしないといけないのに、娘もあやさなければならなかったのだ。
いじめられていない日でも寂しいと母に電話をしたが、母が迷惑がっていると感じて、頻度は段々と少なくなった。やがて母と十分なコミュニケーションを取ることはなくなり、小学校の担任教師から平手打ちされても、母にその事実が伝わることはなかった。
共働きしないと生活していけないのだから、それを否定するつもりはないが、せめて学童保育に預けるなどして、見守ってくれる大人を確保する必要があったはずだ。
子供はイジメで受けた精神的な傷を自分で癒すことはできないのだから。
親のパチンコ依存が子供と向き合う時間を奪う
私と母のコミュニケーション不足の原因は、もうひとつある。
「パチンコ」だ。
母はギャンブル依存症であった。おそらくDVのストレスから、パチンコに依存するようになったのだろう。パチンコというのは時間を忘れて興じてしまう遊びのようで、母は夜遅くになっても帰ってこない日があった。
パチンコ屋の閉店時間の後に帰ってくることが度々あり、父は激高した。「子供たちに飯もくわせないのは、どういうつもりだ!!!」と怒り狂って母を責めた。
だが、それは逆効果だった。
母はパチンコ屋の閉店時間になっても帰ってこなくなったのだ。父との衝突を避けるため、夜中の2時すぎにコソコソ帰ってくるようになった。
極力音を出さないように、玄関の扉をゆっくりと開き、ゆっくりと閉める。寝ている父を起こさないように、母は台所で眠りについていた。 そんなところで寝ていたら、父に蹴られる運命にあるのだが、母にとってはそれが最善手だったのだろう。
パチンコ依存は金銭的な問題も大きいが、子を持つ親の場合は、子供と向き合う時間を喪失している事を忘れてはならない。
子供の自尊心は、親(大人)に守ってもらっていると感じられる中で育まれるものだ。私は「見守られない子供」であったために、自尊心が育たず、最終的に自殺に走った。
共働きやパチンコの問題に限らず、忙しい現代人は子供に構っている時間がないのは重々承知している。だが、子供とのコミュニケーションをないがしろにして良いわけではない。